i:Salesの運用において、メルマガ配信におけるメールの文章は非常に重要なポイントです。
メール文の出来不出来は、メールへの反応率だけでなく、インサイドセールスの接続率やアポ率にも関係し、ひいては売り上げに大きな影響を及ぼします。
ところが、i:Salesを活用したメルマガ運用において、どのような文面を書くべきかが明確になっている人はほとんどいません。
ポイントは、「i:Salesを活用した」というところです。
メルマガの書き方系の本や記事に記載されている内容をそのまま参考にされる方が多いのですが、そのやり方ではうまくいきません。
メール配信ツールとi:Salesでは機能が全く違うため、マーケティング全体の戦略、ひいてはメルマガの内容が大きく異なるのです。
そのため、i:Salesを活用したメルマガ文面を考えるには、まずi:Salesを活用したマーケティング施策をご理解いただくことが重要になります。
そこで本記事では、i:Salesを活用したマーケティング施策についてご説明し、そのうえでメール文面作成のポイントをお伝えさせていただきます。
目次:
i:Salesを活用したマーケティング施策
(メール配信ツールとの違い)
i:Salesとメール配信ツールは機能的に大きく異なりますが、マーケティング施策に関わるところに焦点を当てるならば「メール送信後の相手行動が分かるかどうか」が大きなポイントとなります。
メール配信ツールでは、メールの開封率やメール内URLのクリック率の計測はできますが、それ以外の情報は分かりません。
つまり、「開封されやすい件名」や「読まれやすい文面」を考えるための情報は得られても、メールを開封した人が誰で、その人がその後どのような行動をしたのかなどの「メールを開封 or クリックをした見込み客をフォローするための情報」は得られないのです。
そのためメール配信ツールの場合は、基本的に一通のメール、あるいはステップメールなどの続き物のメールの中で見込み客を興味喚起させ、教育し、アポや問い合わせまで導かねばなりません。
すると、メールの文面は
・不安を煽る
・期待を高める
・共感を引き出す
・商品やサービスの内容を細かく記載する
といった、いわゆる売り込み文に近いものになっていきます。
一方でi:Salesの場合は、メールの開封率やURLのクリック率はもちろんのこと、「誰がそのアクションを行い」、「その後web上でどのような行動をとったか」まで分かります。
この機能があることで、メルマガの文面は売り込みである必要がなくなります。
なぜなら、興味がある(確度の高い)見込み客は、メールを見た後、webサイトを訪問し、回遊するからです。
webサイトが回遊されれば、i:Salesのスコアリング機能により「誰が」回遊を行っているのかを通知することができます。
後は、その人に個別連絡をすれば良いのです。
i:Salesでのメルマガの目的は興味喚起ではなく、見込み客との関係を維持することにあります。
見込み客との関係が維持されれば、具体的に比較検討に入った際、貴社に声がかかります。
声がかからなかったとしても、貴社のwebサイトを訪問するでしょう。
このアクションが行われたとき、その見込み客にアプローチをかければよいのです。
このi:Salesでのマーケティング施策の大きなポイントは、見込み客のタイミングでアプローチをかける点にあります。
見込み客が興味を持ったタイミングを察知し、見込み客が望むタイミングで商談を設定する。
そのため、商談設定率や転換率が飛躍的に向上するのです。
一方で、メール配信ツールを活用したマーケティング施策では、相手の行動が見えないため、メール内で興味喚起させなければなりません。
つまり、メルマガ送信側都合での内容となり、メールの内容次第では、見込み客との関係にズレが生じかねないのです。
ご理解いただけましたでしょうか?
上記内容をまとめると、メール配信システムおよびi:Salesから送るメルマガの目的は、以下となります。
【メルマガの目的】
・メール配信システム・・・見込み客を興味喚起・教育し、問い合わせor商品購入に導く
・i:Sales・・・見込み客との関係を維持する(忘れられないようにする)
メルマガ作成における重要な3つの概念
続いて、メルマガ作成における具体的なポイントの説明に入る前に、押さえておくべき重要な3つの概念についてご説明します。
どのようなメールを作成する際も、これらのことを意識していただければ大きくズレることはないかと思いますので、目を通していただけますと幸いです。
①返報性の法則
「やられたらやり返す!倍返しだ!」は有名なセリフですが、これの良いことバージョン、つまり「恩返し」を意識したメールを作成すると、見込み客との関係がよくなります。
「良いことをしてもらったら、良いことをし返さなければならない」という心理を意識し、貴社が伝えたいことと、世の中が困っていることを上手くすり合わせるのです。
②作用反作用の法則
作用反作用の法則とは、こちらが押せば相手は引き、こちらが引けば相手は押してくる、つまり、相手にこちら側に来てもらうにはこちらが先に引く必要があるという法則です。
メルマガを送って見込み客に反応してほしければ、メール文はこちら側が引いて終わる必要があります。
メールを送るという行為そのものが、受信側からすれば「押し」の行為です。
そのメール文の最後が「ぜひ一度お打ち合わせさせて下さい!」で候補日を列挙するような内容では、売り込み感が強すぎて相手は引いてしまいます。
メールは送るがアポは取りに行かない。
この姿勢が、メールの受け手側に安心感と気遣いを感じさせ、貴社に興味をもたせる第一歩となるのです。
③一貫性の法則
一貫性の法則は、メールの文面に関わる内容というより、配信のタイミングに関わる法則です。
できればメルマガは、毎月同じタイミングに送ることをお勧めします。
タイミングを含めて「定期的に」メルマガを配信することで、見込み客のメルマガに対する抵抗感をやわらげ、安心と信頼に繋がります。
メルマガ作成における具体的なポイント(OK例/NG例込み)
さて、いよいよメルマガ作成における具体的なポイントをお伝えします。
イメージしやすいよう、送信者名に始まり、件名、本文の冒頭~文末まで、作成順に沿ってお伝えしますね。
送信者名 /送信元アドレス
送信者名は、株式会社○○や○○事業部といった組織名ではなく、個人名にすることをお勧めします。
その方が、対人とのやりとりっぽく、親しみを感じやすいからです。
送信者名をどなたにするかはお任せ致しますが、最もお勧めなのは社長の名前を使うことです。
また、それに伴って、送信元アドレスもinfo@などではなく、個人のアドレスを用いることをお勧めします。
個人宛に返信が来ては困るという場合も、i:Salesでは返信先のアドレスを指定できますので、そちらを全体宛てのアドレスにしていただくことが可能です。
件名のポイント
件名は、メルマガっぽいものではなく、一人に当てた自然なものが好ましいです。
イメージは昔の友人に綴る手紙です。
相手を煽るようなひと目でメルマガと分かる文章は、そのまま迷惑メールフォルダに移される可能性が高いのです。
また、文字数は15文字以内(スマホで全て表示される限界)でお願いします。
OK例
・ご無沙汰しております(【名字】です)
・新商品のお知らせ
・今年一年ありがとうございました
NG例
・【○○メルマガVol.1】~~~~~~~~
・中小企業でも簡単!テレワークでも「快適な働き方」を実現する○○とは?
本文(冒頭文)
冒頭文では、お礼や季節のご挨拶、相手の状況を気遣う文などを入れましょう。
イメージは、対面でお会いした際にかける言葉です。
メールはあくまでコミュニケーションツールの一つであり、内容は日常会話となんら変わりありません。
売り込み文の場合は冒頭に、相手の悩みや課題を当てに行く文章を挿入しますが、自然に相対した相手にいきなり売り込みをかけるのは、不自然以外の何物でもありませんよね。
目的はあくまで関係を維持することであり、忘れられないことです。
また、できれば相手個人の名前を冒頭文に入れるようにしましょう。
個人名を挿入することで、親近感を与えることができます。
OK例
お世話になっております!
(【会社名】の)【名字】です。
ここのところ記録的な猛暑が続き、都内では熱中症警戒アラートまで出ておりますが、○○様は体調など崩されておりませんでしょうか。
今回は、オンライン営業セミナーを開催することとなりましたので、その件でご連絡させていただきました。
NG例
こんにちは!○○運営事務局です。
働き方改革関連法の施行や感染症対策のため、テレワークへの注目が非常に高まっています。
「テレワークを導入したけど何から手をつけたらいいのかわからない」「テレワークを導入してみたけど生産性が低下している」というお悩みをよくお聞きします。
本文(中盤)
中盤では、このメールで伝えたいことを書きます。
メールの目的がセミナーの告知なのであれば、告知文を本パートに書くことになります。
メール中盤では、主に以下の点を意識してみて下さい。
① 告知するものについて、それを手掛けることになった背景に注力する
② 告知するもの(商品やイベント等)についてあれこれかかない
③ 伝えたいことを一つに絞り、あれこれ導線を設けない
①告知するものについて、それを手掛けることになった背景に注力する
サービスやイベントを告知したいとき、その内容に触れなければ告知にならないけど、触れると売り込み文になって見込み客が離れるてしまうというジレンマがあります。
この問題を解消するポイントは、そのサービスやイベントを手掛けることになった背景、つまり告知するものへの想いを綴ることです。
会社のビジョンやミッションに近いものですね。
そのサービスやイベントをなぜやるのか、その先にどんな未来を実現したいのか、
を丁寧に、読み手が納得するように綴ることが大切です。
背景を書かないのは論外ですが、適当に書いても薄っぺらくなるので、相手を引き込むつもりでこの部分に全神経を集中させましょう。
OK例
私はこれまで、多くの方に支えられてきました。
前職では、数百名もの中小企業の社長様とやり取りをさせていただき、その時に教わった教えや教訓が、今の会社経営を支える大きな財産となっています。
お陰様で、コロナ禍においても業績を落とすことなく会社が続けられ、社員共々、やりがいのある日々を過ごすことができております。
しかし、このコロナ禍で、多くの中小企業が危機に瀕することになりました。
私がかつてお世話になった方々も、経営の危機に瀕しているかもしれないと思うと、胸が締め付けられる想いです。
そこで、恩返しというほどではないですが、弊社がこれまで蓄積してきたオンライン営業のノウハウを全て無料で公開させていただくことにしました。
NG例
・OK例のような取り組み背景を書かない
・「コロナ禍でオフラインでの営業ができず、業績を落とされている企業が増加しています」など、一言での薄っぺらい背景説明。
②告知するもの(商品やイベント等)についてあれこれ書かない
サービス詳細やセミナー詳細などを細かく書けば書くほど、売り込み感が強く、見込み客が離れやすくなるため気を付けましょう。
サービス詳細やセミナー詳細については、ランディングページ(LP)作成し、そのページのURLをリンクとしてメールに載せましょう。
※ただし、i:Sales製LPのURLは長いため、文章をハイパーリンクにすることをお勧めします。
①をしっかり書けていれば、②はほとんど書く必要がなくなりますので、①に厚みを持たせることに注力しましょう。
OK例
詳しい内容はこちらに記載しております。
【セミナー詳細ページURL】
本活動が、中小企業の業績向上を助け、日本の景気が上向くきっかけになりましたら幸いです。
NG例
▼こんな企業にお勧め
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▼概要
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▼詳細
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③伝えたいことを一つに絞り、あれこれ導線を設けない
メルマガ作成の原則ですが「一つのメールで伝えることは一つ、設ける導線も一つ」です。
弊社のこれまでの運用で分かったことですが、導線(リンク)の数を増やせば増やすほど、全体のクリック率は下がります。
メールの受け手も、導線が多いと、何を伝えたいのかが分かりません。
メールの文章の長さは限られています。
※厳密には文章量の制限はありませんが、読んでもらえる長さには限度があります。
少ない文章量で伝えられることは一つのみです。
OK例
詳しい内容はこちらに記載しております。
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NG例
L○○セミナーについてはこちら
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本文(後半)
本文の後半は、メールの印象をガラっとかえる重要なポイントです。
本文の後半をしっかり閉めることができれば、受け手の心に温かみを与えることができます。
ただし、だらだら長く綴る必要はありません。
ほんの一言、気遣いの言葉を入れるだけでいいのです。
OK例
宜しければ今度、○○様の近況もお聞かせください。
NG例
上記のような一文を入れない。
本文(閉め)
閉めで意識していただきたいのは、③作用反作用の法則です。
メールを見た人に次の行動を起こしてもらうには、こちらが引いて終わらなければなりません。
ここで、間違ってもアポの打診などしないよう、気を付けましょう。
OK例
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。
NG例
宜しければ、一度ご挨拶させていただき、詳しい内容をお伝えさせていただけれますと幸いです。
以下の日程はご都合如何でしょうか?
・○/○(○)○:○~○:○
・○/○(○)○:○~○:○
・○/○(○)○:○~○:○
本文(全体)
最後に、メールの文章量についてです。
長いメールは苦痛で読まれませんので、短くすることを意識しましょう。
基本は300-500文字前後です。
500文字をどうしても超えてしまう場合は、誘導先のURLを、文章の冒頭と後半の2カ所に設置するようにしましょう。