コンテンツマーケティング(SEOを含む)を自社で回している企業が増えています。
多くの企業が自己流で行っているなか、成功する企業と失敗する企業がはっきり分かれています。
そこで、成功している企業が共通して実践しているコンテンツマーケティングの必勝ポイントをお伝えします。
それは、ずばり! 初期設計を行っているかどうか、です。
失敗している企業は、この初期設計をほとんど行っていません。
多くの失敗企業は、コンテンツマーケティングを始める際、「担当が1名、兼務が1名の計2名だから、まずは月に3記事ペースでアップしていこう!」という、ふわっとした感じでスタートします。
これだと、最初はモチベーションが上がっているのでいいのですが、3ヶ月位経つと、
「本当にこの方法で合っているのだろうか?」
「いまの記事数ペース、違うんじゃないだろうか?」
「この作業、一体いつまでやるんだろうか?」
みたいな気持ちになり、徐々にモチベーションも下がり、いつの間にかプロジェクトが立ち消えている、というケースになります。
ですので、コンテンツマーケティングを始める際は、必ず正しい初期設計を立ててから実践に移す必要があります。
コンテンツマーケティングの初期設計の立て方
初期設計では、まず最初に「売上目標」と「達成するまでの期間」を決めます。
これがないと何も始められません。
売上目標と期間が決まったら、次のような流れで逆算シミュレーションして、目標達成するために必要な記事数まで落とし込みます。
B to B(営業が絡む)のシミュレーション
B to C(営業が絡まない)のシミュレーション
では、最初に B to B のシミュレーションから手順を説明します。
B to C も1と2の手順は同じですので、一緒に説明します。
1. 売上目標と達成するまでの期間を決める
「売上目標」は、コンテンツマーケティングを行うことで得られる売上の目標です。いまの売上にプラスいくらの売上を達成したいかを最初に決めます。
ここでは例として、3,000万円にします。
また、「達成するまでの期間」は、売上目標に到達する期間です。つまり、コンテンツマーケティングを一周する期間と思ってください。(コンテンツマーケティングは、一般的に1年半〜2年位で一周させます。)
ここでは例として、2年とします。
2. LTVや顧客単価から必要な顧客数を求める
LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値(Life Time Value)の略称で、顧客が自社の利用を開始してから終了するまでの期間に顧客が支払った総売上の平均です。
LTVは、会社経営にとても重要な指標ですので、マーケ担当はこの指標をしっかりと把握しておく必要があります。
LTVと違って、顧客単価は、1回の支払いで得られる売上です。
コンテンツマーケティングの初期設計では、基本的にLTVで計算します。なぜなら、コンテンツマーケティングは長期間に渡って記事を量産します。記事作成には、多くのコスト(人件費や外注費)がかかります。
かかった経費がペイするのか?するのはいつか?を予想するためには、LTVがないと計算できません。(顧客単価では計算できません。)
ただ、LTVを把握していない、もしくは、自分の部署ではLTV数値がわからない場合は、顧客単価でシミュレーションしても構いません。
ここでは例として、LTV 50万円にします。
LTV50万円の場合、1で決めた売上目標3,000万円を達成するために必要な顧客数は、何社(何名)でしょうか?
そうです。3,000万円(売上目標)÷ 50万円(LTV)= 60社(名)です。
つまり、60社(名)の契約があれば、売上目標3,000万円を達成できるということです。
ここから先の手順は、営業が絡む B to B と 営業が絡まない B to C で変わってきます。
B to C の方は、「CVRから必要なサイト訪問者数を求める」までスキップしてください。
3. 契約率から必要な商談数を求める
次に、現在の契約率から目標達成に必要な商談数を求めます。
例えば、契約率が30%なら、1契約取るために必要な商談数は、
1契約 ÷ 30%(0.3)= 3.33333... になります。
ここでは例として、契約率 35%とします。
契約率35%の場合、2で求めた顧客60社(名)を獲得するために必要な商談数は、
60(顧客数)÷ 35%(契約率)= 171(商談数) です。
つまり、171の商談数があれば、売上目標3,000万円を達成できるということです。
4. 商談化率から必要なリード数を求める
目標達成に必要な商談数まで逆算できました。次は、必要な商談数を生み出すためにどれだけのリード(見込み客)が必要か計算します。
コンテンツマーケティングのシミュレーションなので、リードはWebサイト経由で発生します。一般的には、資料請求や問い合わせ、無料体験などのコンバージョンがリードの入り口となります。
ただし、ここで注意が必要です。多くの B to B の場合、「コンバージョン数=商談数」にはなりません。
なぜなら、資料請求や問い合わせがあったリードに営業がアポイントコールを行った場合、商談に進むのは、そのうちの70〜80%程度だからです。
これを「商談化率」と言います。
ここでは例として、商談化率を70%とします。
商談化率70%の場合、3で求めた商談数171を生み出すために必要なリード数は、
171(商談数)÷ 70%(商談化率)= 244(リード数) です。
つまり、244のリード数があれば、売上目標3,000万円を達成できるということです。
5. CVRから必要なサイト訪問者数を求める
ここまでで、目標達成するために必要なリード数まで逆算できました。次は、必要なリード数を集めるために必要なサイト訪問者をCVR(コンバージョンレート)から求めます。
例えば、CVRが1.0%だった場合、10リードを集めるために必要なサイト訪問者は何名でしょうか?
答えは、1,000名です。※10(リード)÷ 1.0%(CVR)
ここでは例として、CVRが1.0%とします。
CVRが1.0%の場合、4で求めたリード244(B to C の場合は、2で求めた60の顧客)を獲得するために必要なサイト訪問者は、
244(リード数)÷ 1.0%(CVR)= 24,400(サイト訪問者数) です。
つまり、24,400のサイト訪問者数があれば、売上目標3,000万円を達成できるということです。
ちなみに、後で出てきますが、このシミュレーションでは、目標売上を達成するための期間を「2年」に設定しています。なので、上記の24,400のサイト訪問者は、月の数値ではなく、2年間で集めればよい数値です。(月ベースなら訪問者1,016)
6. 平均CTRから必要な検索ボリュームを求める
段々とゴールに近づいてきました。ここからは、実際のWebサイトの数値(CTRなど)を使ってシミュレーションしていきます。
CTR(クリックスルーレート)とは、検索結果に表示された自分のサイトを検索ユーザーがクリックしてくれた率です。一般的に、検索順位が高ければCTRも高くなります。
※コンテンツマーケティングやSEO界隈に絞ったCTRの説明です。
CTRは、業界や検索キーワードによってバラつきがありますので、実際に自分のサイトの平均値を使います。
パスカルの流入分析から「GSC連携」をクリックして、Webサイトの分析を行います。
分析する期間指定は、「先月」にしてください。
URLの一覧が表示されたら、右上のエクスポートボタンをクリックして、CSVファイルをダウンロードします。
※キーワード一覧が表示される場合は、左上の「ページ軸」をクリックしてください。
CSVファイルをエクセルで開きます。今回のシミュレーションで使う数値は、D列の「キーワード数」とF列の「CTR」です。
D列の「キーワード数」は、A列のランディングページ(URL)が指定期間(先月)内で検索結果に表示されたキーワード数を表しています。例えば、「10」と表示されていれば、10種類のキーワードで検索結果に表示されていることになります。
※パスカル画面上でランディングページの左の下向き矢印アイコンをクリックすると、そのページのキーワード一覧をみることができます。
F列の「CTR」は、D列のキーワードで検索したユーザーがあなたのページをクリックした率です。
D列とF列、それぞれの平均値(AVERAGE関数)を求めます。この数値が現時点でWebサイト全体における「1ページあたりの平均キーワード数」と「平均CTR」です。
【集計するポイント】
もし、ブログ記事やコラム記事だけで集計をしたい場合は、すべてのランディングページで分析するのではなく、ブログ・コラムのページのみで集計しても構いません。
また、いままでの記事がSEOをまったく意識せずに書いた記事の場合、多くのページのCTRが0のはずです。その場合は、CTRが0のページは除外して計算しても構いません。
上の画像の例をもとに、ここでは次のように設定します。
1ページあたりの平均キーワード数:42
平均CTR:0.91%
サイト全体の平均CTRが0.91%なので、5で求めた24,400のサイト訪問者数を獲得するために必要な検索ボリュームは、
24,400(サイト訪問者)÷ 0.91%(CTR)= 2,681,318(必要な検索ボリューム) です。
7. キーワードの平均月間検索数から必要なキーワード数を求める
次に、Webサイト全体で流入しているすべてのキーワードの月間検索数の中央値を知りたいのですが、大きなサイトになると、数千〜数十万キーワードになることもあるので、シミュレーションでは、1キーワードあたりの月間検索数の中央値を「30」にします。
※統計的に、Webサイト全体で流入しているキーワードのほとんどは、ロングテールキーワードのため、月間検索数の中央値を取ると10〜50の間になります。
なお、ここで中央値を使う理由は、月間検索数は、ビックキーワードとロングテールキーワードで数値に天と地ほどの開きがあるため、平均値で計算すると大きな値に引っ張られて正しい数値が計算できないためです。
月間検索数の中央値が30に設定しましたが、今回のシミュレーションは2年で設定しているため、期間を合わせるために、30(月間検索数)× 24ヶ月 = 720(検索ボリューム)とします。
1キーワードあたり、2年間の検索ボリュームの平均は、720です。
目標達成のために必要な検索ボリュームは、2,681,318 なので、目標達成に必要なキーワード数は、
2,681,318(必要な検索ボリューム)÷ 720(1キーワードあたりの検索ボリューム)= 3,724(必要なキーワード数) です。
8. 1ページあたりの平均キーワード数から必要な記事数を求める
さらに、エクセルで求めた「1ページあたりの平均キーワード数」は「42」なので、目標達成に必要な記事数は、
3,724(必要なキーワード数)÷ 42(1ページあたりの平均キーワード数)= 88(必要な記事数) です。
つまり、「2年間」で「88」の記事を作成すれば、売上目標3,000万円を達成できるということです。
単月で計算すると、月に4記事ペースで新規記事をアップしていけば、1年10ヶ月で88記事になり、シミュレーション通りにいけば、3,000万円の売上が見込める、という計算になります。
シミュレーション通りにはいかない(泣
これでシミュレーションは完成です。しかし、悲しいことにシミュレーション通りにはいきません・・
ビジネスは生き物です。何が起こるかわかりません。さらに、今回のシミュレーションは、現時点の数値(LTVや契約率、CVR、CTRなど)をもとに計算しています。
コンテンツマーケティングは、記事を量産してリードを獲得する方法です。いままでコンテンツマーケティングを行っていなかった場合、まったく新しいリードを集めることになりますので、契約率もLTVもCVRも当然変わってきます。
では、シミュレーションは意味がないのか?
いいえ、大いに意味はあります。
コンテンツマーケティングは長期戦のマーケティング手法です。最初に記載したように、初期設計なしで長期戦に取り組むと、担当者は不安になり、迷子になります。
最初にしっかりとした数値をもとに初期設計を行っておけば、少しの誤差はあっても大きく数値がズレることはありません。
毎月、数値を検証して、各項目の数値を調整していけば、1年後には「どれだけの記事を書けば、どれだけの売上になる」まで正確に読めるようになります。
そこまでいけば、コンテンツマーケティングは完全にマスターしたと言えます。
コンテンツマーケティングのメリット
なぜ、世界中でコンテンツマーケティングを行う企業が増えているのか?
その答えは、「 やればやるほど積み上げっていく売上」に尽きます。
広告と違って、コンテンツマーケティングで量産した記事は半永久的にリードを産んでくれます。
今回のシミュレーションは、「2年後に3,000万円の売上」という条件で作りましたが、当然、作った記事は2年後以降も3,000万円の売上を産み続けてくれます。もちろん、その後も記事を量産し続けるでしょうから、売上は積み重なっていきます。
記事を作るには時間もコストもかかりますが、パスカルの記事作成レポートに忠実に従って作ればSEOに関しては問題ありません。
長期戦ではありますが、記事は作れば作るほどメリットが大きいので、ぜひ皆様も実践してみてください。
まずは、本記事を参考に初期設計に取り組んでみてください!
今回のシミュレーションをエクセルにしました。
B to B と B to C どちらもあります。こちらからダウンロードしてください。
この記事の続き
今回のシミュレーションで求めた必要な記事数「88」。この記事を書くにあたって、88個のキーワードを選定する必要があります。
以下の記事では、パスカルを使って最短最速でコンテンツマーケティングを成功させるキーワード選定の方法を書いています。
ぜひ、一緒にお読みください。
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