対象のサービス:Wevox Engagement
概要
本記事では、配信回ごとのスコア比較やレポート出力において、表示内容に乖離が生じる場合の理由と仕組みについて解説します。以下のような事象が発生した際に、ご参照ください。
画面上では前回サーベイ、今回のサーベイとスコアは変動していないが、「データ解析」→「スコア出力」で前回と今回のサーベイの差分を出力すると、差分が1点として表示される
画面上では現在のスコアとベンチマークで差分が表示されていないが、スコア出力をすると、差分が1点として表示される
スコア計算および表示の仕様
基本仕様
計算処理:スコアに関する全ての計算処理は小数点を含む値で行います。
整数化:小数第一位を四捨五入し、整数値として算出します。
小数第一位までのスコア算出:小数第二位を四捨五入し、スコアを算出します。
具体例
スコアの乖離が発生する2つの例をご紹介いたします。
例1:グループAの6月配信時と5月配信時のスコアに関して、画面上では差分はないが、各サーベイのスコア比較をした形式で出力をすると差分が1点と表示される場合
6月配信、5月配信に対して、それぞれ四捨五入前のスコア、小数第一位、整数表示したスコアの例を以下に示します。
項目 | 四捨五入前のスコア | 小数第一位で表示 | 整数表示 |
6月配信のスコア | 61.412… | 61.4 | 61 |
5月配信のスコア | 60.529… | 60.5 | 61 |
6月と5月のスコア差分計算
スコア差分の計算も小数点を含む値で行われるため、次のように乖離が算出されます。
6月のスコア(61.412…) - 5月のスコア(60.529…)= 0.883..
差分を小数第一まで表示した場合:0.9点
差分を整数で表示した場合:1点
「6月・5月のスコア」と「その差分」を整数で表示すると、以下のように整数表示のスコアは同一だが、スコア差分が1点発生しているように見える事象が発生します。
6月のスコア: 61点
5月のスコア:61点
6月と5月のスコア差分:1点
例2:グループAとBのスコアは同一だが、グループAとBのベンチマーク比較のスコアに差分が出る場合
グループA、B、ベンチマークに対して、それぞれ四捨五入前のスコア、小数第一位で表示したスコア、整数表示したスコアの例を以下に示します。
項目 | 四捨五入前のスコア | 小数第一位で 表示したスコア | 整数表示したスコア |
グループA | 50.532… | 50.5 | 51 |
グループB | 51.403… | 51.4 | 51 |
ベンチマーク | 51.327… | 51.3 | 51 |
グループスコアとベンチマークスコアの差分計算
スコア差分の計算も小数点を含む値で行われるため、次のように乖離が算出されます。
グループAのスコア(50.532) - ベンチマークスコア(51.327) = -0.795点
差分を小数第一まで表示した場合:-0.8点
差分を整数で表示した場合:-1点
結果的に、グループA、ベンチマークスコアとその乖離を整数表示すると、以下のようにグループスコアとベンチマークスコアは一致しているが、スコアに乖離が生まれるという事象が発生します。
グループAのスコア:51点
ベンチマークスコア:51点
グループAとベンチマークの乖離:1点
仕様の背景
数学的な正確性の観点
四捨五入後の数値を用いて計算を行うと、以下の理由で誤差が発生します。
小数点以下の情報が失われる。
正確な比較ができなくなる。
そのため、計算処理では常に小数点を含む値を使用し、整数化は「表示の最後」にのみ適用されます。
実態に即した比較を可能にする観点
以下の理由から、計算処理では小数点を含む値を使用しています。
例1:スコアが51.4点と50.5点の場合、0.9点の差がありますが、整数化すると「51点」となり、差がないように見えます。
例2:スコアが51.5点と51.4点の場合、実際の差は0.1点ですが、整数化すると「52点」と「51点」となり、1点の差があるように見えます。
このように、整数化により実態とは異なる見え方が発生するため、比較処理では小数点を含む値を使用します。
画面上で小数点表示を実施していない背景
ユーザーインターフェース最適化の観点から、整数表示の方が簡潔で視認性が高いと判断し、小数点を含めた画面表示には対応をしておりません。
2024年12月時点において、小数点を含む値の表示は分析用途が強いレポート出力機能のみに限定しています。
Wevoxとしてより分かりやすいスコア表示方法の検討は継続的に進めてまいります。