概要
「ベンチマーク」とは、エンゲージメントスコアの到達指標です。「比較」や「オーバービュー」の画面にて、「スコアとベンチマークの乖離」から到達指標と現在のスコアとの差分を確認することができます。
オーナー権限を付与された方であれば、Wevox Engagementの【ベンチマーク】より変更をすることができます。
様々な業界・規模のデータを参照して設定する『データを参照』と、オリジナルで全ての数字を設定いただく『編集』の、大きく2つの方法から設定いただけます。
本記事では、『データを参照』で利用されている数値の計算方法を説明します。
算出方法
算出にまつわる課題
Wevox では、ベンチマーク機能を提供するため、業界や人数規模ごとの企業群の「平均的なスコア」、「上位20%のスコア」、「上位5%のスコア」が推定され、データベースに保持され、利用されています。
本来ならば、業界や人数規模ごとに会社をフィルターし、その会社たちのスコアの平均点などを計算すればよいと考えられると思いますが、この方法には問題があります。
業界や人数規模によっては、該当する会社が数社しか無い場合があります。このような状況では、平均点には大きなバイアスがかかり、製品として提供できる品質にありません。
また、該当する企業が1社もない場合は、そもそも計算が不可能です。
そこで、 Wevox では、ベイズ統計の手法を応用することで、この問題を回避しております。
算出方法
具体的には、以下の4ステップで計算しております。
ここでは、「業界:インターネットサービス」「人数規模:51〜100人」の平均的なスコアの計算を例に上げて説明します。
前提
平均スコア:1年以内の最も直近のサーベイの結果の平均
Step1:Wevox 全導入企業の平均スコアを求める
ここでは仮に、Wevox 全導入企業の平均スコアは70点だったとしましょう。
Step2:Wevox 全導入企業と、インターネットサービス企業の平均点の差を求める
業界がインターネットサービスの企業の平均スコアは、75点だったとします。
この場合、平均点の差は+5点です。
Step3:Wevox 全導入企業と、51〜100人の企業の平均点の差を求める
人数規模が51〜100人の企業の平均スコアは、60点だったとします。
この場合、平均点の差は-10点です。
Step4:上記をまとめてベンチマークを算出する
上記のデータをもとに、「インターネットサービス」「51〜100人」のベンチマークは 70 + 5 - 10 = 65点と計算する。
ここに出てくる各種数値の算出に、ベイズ統計の手法が応用されており、企業数が少ない業界、人数規模があっても、安定して信頼性の高い数値を計算できるような工夫がされております。
メリットとデメリット
この方法で算出されたベンチマークは、実際の企業の平均点ではないというデメリットがあります。
一方、社数が少ない業界や人数規模においても、安定して信頼性の高い数値を提供することができるというメリットがあります。
Wevox では、ベンチマーク機能において最も大切なことは、「実在企業の平均である」という事実よりも、比較対象としてより信頼できる値を提供することだと考えております。
そのため、ベイズ統計学の力を借りる今回の方法を選択するに至りました。