本ページでは、オンライン診療を実施する際に注意すべきポイントについてご案内いたします。
オンライン診療を行う場合、「オンライン診療の適切な実施に関する指針(ガイドライン)」や法令の遵守、施設基準等の要件を満たす必要があります。
以下、オンライン診療の各種ケースに沿って、主な注意事項をご案内いたします。
【目次】
1.全てのオンライン診療における注意点
(1)研修の受講
オンライン診療を行う医師は、「オンライン診療の実施にかかる研修」を修了する必要があります。
💡関連資料:「オンライン診療の実施にかかる研修について」
(2)オンライン診療を行う旨の届出
オンライン診療を行う医療機関は、病院又は診療所の「開設届(または開設後の変更届)」にて、オンライン診療を行う旨を届け出る必要があります。
※令和8年4月1日時点で既にオンライン診療を実施している場合は、令和9年3月31日まで「開設後の変更届」の届出を不要とする経過措置が設けられています。
💡関連資料:オンライン診療を行う旨の届出について
(3)オンライン診療指針を遵守している旨の公表
オンライン診療を実施する医療機関は、ホームページや院内掲示等において、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」 を遵守した上でオンライン診療を実施している旨を公表する必要があります。
指針では適切な事例として、厚生労働省が作成した「オンライン診療指針の遵守の確認をするためのチェックリスト」を公表する方法が述べられています。
(4)医師-患者関係/患者合意
オンライン診療は、医師と患者が合意した上で実施する必要があります。
また、医師が医学的な観点からオンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合には、速やかに対面診療につなげることが求められます。
合意につきましては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A」を踏まえて、医師と患者の双方が口頭にて合意した旨をカルテへ記載することで、合意取得と見做されると解釈しておりますが、正確な情報につきましては所属の厚生局にご確認をお願いいたします。
💡関連資料:オンライン診療実施に関する患者合意の同意書
(5)診療計画の策定
オンライン診療を行う前に、対面診療による診断に基づいて「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で示された診療計画を定め、2年間は保存することが求められます。
なお、診療計画は文書又は電磁的記録により患者が参照できるようにすることが望ましいとされていますが、患者の不利益とならない限りにおいては、診療計画の内容を口頭で患者に伝えることも可能です。
(初診の場合は「初診のオンライン診療における注意点>(4)」も合わせてご確認ください。)
💡関連資料:【オンライン診療】診療計画書
(6)本人確認
医師と患者双方が身分確認書類を用いてお互いに本人確認を行う必要があります。
具体的には、医師はHPKIカード(医師資格証)やマイナンバーカード、患者はマイナンバーカードや医療保険者の発行する資格確認書などを提示します。
かかりつけの医師がオンライン診療を行う場合、社会通念上、当然に医師と患者本人であると認識できる状況であれば、本人確認を都度行う必要はありません。
(初診の場合は、より慎重な本人確認が求められるため「初診のオンライン診療における注意点>(1)」も合わせてご確認ください。)
(7)医師の所在について
医師は必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要はありませんが、騒音により音声が聞き取れない、ネットワークが不安定であり動画が途切れる等、オンライン診療を行うにあたり不適切な場所や公衆の場でオンライン診療を行うことは禁止されています。
また、オンライン診療を行う場合は診療録など、過去の患者の情報を得られる体制で診療を行うことが求められるため、原則として医療機関内でオンライン診療を実施されることが望ましいとされます。
2.初診のオンライン診療における注意点
保険診療又は自由診療を問わず、初診患者にオンライン診療を行う場合、「1.全てのオンライン診療における注意点」に加えて、以下の注意が必要となります。
(1)本人確認
初診でオンライン診療を用いる場合、患者は顔写真付きの身分証明書で本人証明を行うことが求められます。
顔写真付きの身分証明書を有しない場合は、2種類以上の身分証明書を用いて本人証明を行ってください。
(本人証明を行う書類を用意できない場合は、患者の事情を考慮して身分証明書に準ずる書類を確認する等の対応を行う。)
(2)診療前相談
原則、初診については「かかりつけの医師」が行うものとされております。
ただし、医学的情報(過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳、Personal Health Record等)から既往歴、服薬歴、アレルギー歴等の他、症状から勘案して問診及び視診を補完するのに必要な医学的情報が十分に把握でき、医師が可能と判断した場合は、「かかりつけの医師」以外も初診からオンライン診療が実施できます。
その他、患者に「かかりつけの医師」がいない又は対応出来ない場合において「診療前相談」を行い、医師が可能と判断した場合は、初診からオンライン診療を実施することも可能ですが、オンライン診療の実施後、適切に対面診療に繋げられる体制が求められます。
(過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳、PHR等、あるいは診療前相談から得た情報は、診療録に記載する必要があります。)
▼「かかりつけの医師」とは
・「日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」を指します。
・最後の診療からの期間や定期的な受診の有無によって一律に制限するものではありません。
▼「診療前相談」とは
・医師-患者間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い、医師が患者の症状及び医学的情報を確認する行為を指します。
・初診からのオンライン診療はかかりつけの医師が行うほか、適用対象の患者が対象ですが、それ以外の場合は「診療前相談」を行った上で医師・患者双方がオンラインでの診療を可能と判断し、相互に合意した場合に実施が可能となります。
・診療前相談を行うにあたっては、結果としてオンライン診療が行えない可能性があることや、診療前相談の費用等について医療機関のホームページ等で示すほか、あらかじめ患者に十分周知することが必要です。
(3)処方の制限
初診からのオンライン診療の場合、及び新たな疾患に対して医薬品を処方する場合は、「⽇本医学会連合オンライン診療の初診に関する提⾔」に記載の「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」を参考に行うことが必要です。
ただし、初診の場合には以下の処方が禁止されておりますのでご注意ください。
・麻薬及び向精神薬の処方
・基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
・基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方
※初診をオンライン診療で実施の上、2度目以降の診察(再診)もオンライン診療で実施する場合の患者に対して、医薬品を処方する場合も初診と同等の扱いとなります。
※基礎疾患等の情報が把握できていない患者については、既往歴、服薬歴、アレルギー歴等や、患者の症状と勘案して当該薬剤の処方に必要な医学的情報を、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク、お薬手帳、PHR等により確認し、把握する必要があります。
(4)診察後の説明
オンライン診療を行う前には「診療計画」を定める必要がありますが、初診からオンライン診療を行う場合は、診察後に方針(次回の診察の日時及び方法、並びに症状の増悪があった場合の対面診療の受診先等)を患者に説明の上、オンラインでの診療継続又は見込みがある場合は可及的速やかに診療計画を定めて保存することが求められます。
💡関連資料:【オンライン診療】診療計画書
3.保険のオンライン診療における注意点
オンライン保険診療を行う場合、「1.全てのオンライン診療における注意点」に加えて、以下の注意が必要となります。
(1)施設基準の届出及び実績報告
診療報酬上における「基本診療料」の算定には施設基準の届出が必要です。
また、毎年8月頃に情報通信機器を用いた診療に係る報告書(実績)を地方厚生局に提出することが求められます。
(2)ウェブサイトへの掲示事項
「(1)」の施設基準として、医療機関のウェブサイトに以下を掲示する必要があります。
・医療機関の対応状況を記入した、「オンライン診療指針の遵守の確認をするためのチェックリスト」の掲載
・情報通信機器を用いた診療の初診において、向精神薬の処方は行わない旨の公表
(3)医療広告ガイドラインの遵守
「(1)」の施設基準として、医療広告や医療機関のウェブサイト作成において、以下の要件を満たす必要があります。
・医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)の遵守
・当該保険医療機関のウェブサイトを作成する際は、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を参考にすること
(4)向精神薬の処方について
「(1)」の施設基準として、再診患者に向精神薬を処方する場合は、電子処方箋管理サービスによる重複投薬等チェックの活用が必要となります。
※電子処方箋システムを有していない場合、「令和10年5月31日」までの間に限り、オンライン資格確認等システム又は医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークのいずれかを用いて、薬剤情報を確認することとしても差し支えないとされております。
(5)診療録・診療報酬明細書および処方箋の記載
オンライン診療を行った場合、診療録・診療報酬明細書および処方箋に以下の項目を記載する必要があります。
<診療録及び診療報酬明細書に記載すべき事項>
①「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診察を行い、当該指針に示されている一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」、「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、当該診療や処方が指針に沿った適切なものであること
▼具体的な記載内容
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な診療である(初診料)
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な診療である(再診料)
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な診療である(外来診療料)
※処方を行なった場合は以下も追加
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な処方である(初診料)
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な処方である(再診料)
・オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な処方である(外来診療料)
※コメントコードは「別表Ⅰ 診療報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧 (医科)」をご確認ください。
<その他、診療録に記載すべき項目>
②診療計画
③オンライン診療の診療内容、診療日及び診療時間等の要点
④(緊急時(急変時等)の対応を自院で行えない場合)受診可能な医療機関名や紹介方法等
⑤(通院歴のない患者の初診時)過去の診療録、診療情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳、PHR等から事前に得た情報または診療前相談で得た情報
⑥(処方箋をFAXなどで送信する場合)送付先の薬局
<処方箋に記載すべき事項>
情報通信機器を用いた診療の実施に伴い処方箋を発行する場合については、処方箋備考欄に「情報通信」と記載します。
なお、患者がオンライン診療後にオンライン服薬指導を希望する場合や、対面の服薬指導を希望するものの患者に即時に処方箋を渡すことができない時に医療機関から薬局へ処方箋情報を送付する場合は、「情報通信」と合わせて「オンライン対応」と記載します。
以下処方箋の取り扱いについて弊社の解釈をまとめております。
※今後疑義解釈の発出によって内容に変更が生じる場合がございます。
(6)緊急時(急変時等)の対応
患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行います。ただし、夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、以下の内容について、診療録に記載しておく必要があります。
(ア) 当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合には、当該医師が所属する医療機関名
(イ) 当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合には、対面診療により診療できない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者の同意
(7)オンライン診療を実施可能な体制
保険医療機関においては、対面診療を提供できる体制を有することとされています。また、患者の状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有することが必要です。

