令和6年度の診療報酬改定では、通院精神療法について、情報通信機器を用いた診療を実施した場合の評価が新設されました。
通院精神療法とは
入院中の患者以外の患者であって、精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害があるもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。
算定要件
令和6年の診療報酬改定では、同一の疾病に対して、過去1年以内の期間に対面診療を行ったことがある患者の再診時かつ精神保険指定医の診察時及び、
下記施設基準の要件が満たされている場合のみ、情報通信機器を用いた際に算定可能となります。
<情報通信機器を用いた通院精神療法の施設基準>
(1) 情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること。
(2) 厚生労働省令和4年度障害者総合福祉推進事業「情報通信機器を用いた精神療法を安全・適切に実施するための指針の策定に関する検討」において作成された、「情報通信機器を 用いた精神療法に係る指針」(以下「オンライン精神療法指針」という。)に沿って診療を 行う体制を有する保険医療機関であること。
(3) オンライン精神療法指針において「オンライン精神療法を実施する医師や医療機関につ いては、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに資するよう、地域における精神科医 療の提供体制への貢献が求められる」とされていることから、以下のア及びイを満たすこと。
ア 地域の精神科救急医療体制の確保に協力している保険医療機関であること。 具体的には、 (イ)から(ハ)までのいずれかを満たしていること。
(イ) 精神科救急医療確保事業において常時対応型施設として指定を受けている医療機関又は身体合併症救急医療確保事業において指定を受けている医療機関であること。
(ロ) 精神科救急医療確保事業において病院群輪番型施設として指定を受けている医療機関であって、1又は2のいずれかに該当すること。
1 時間外、休日又は深夜における入院件数が年4件以上であること。そのうち1件以上は、精神科救急情報センター、精神医療相談窓口、救急医療情報センター、他の医療機関、都道府県(政令市の地域を含むものとする。以下アにおいて同じ。)、 市町村、保健所、警察又は消防(救急車)からの依頼であること。
2 時間外、休日又は深夜における外来対応件数が年10件以上であること。なお、 精神科救急情報センター、精神医療相談窓口、救急医療情報センター、他の医療機関、都道府県、市町村、保健所、警察又は消防(救急車)等からの依頼の場合は、 日中の対応であっても件数に含む。
(ハ) 次の1及び3又は2及び3を満たしていること。
1 精神科救急医療確保事業において外来対応施設として指定を受けている医療機関であること。
2 時間外対応加算1の届出を行っていること。
3 精神科救急情報センター、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)、救命救急センター、一般医療機関等からの患者に関する問合せ等に対し、原則とし て当該保険医療機関において、常時対応できる体制がとられていること。また、やむを得ない事由により、電話等による問合せに応じることができなかった場合であっても、速やかにコールバックすることができる体制がとられていること。
イ 当該保険医療機関において情報通信機器を用いた精神療法を実施する精神保健指定医が、 精神科救急医療体制の確保への協力を行っていること。具体的には、(イ)又は(ロ)の いずれかの実績があること。
(イ) 時間外、休日又は深夜における外来対応施設(自治体等の夜間・休日急患センタ ー等を含む。)での外来診療又は救急医療機関への診療協力(外来、当直又は対診)を年6回以上行うこと(いずれも精神科医療を必要とする患者の診療を行うこと。)。
(ロ) 精神保健福祉法上の精神保健指定医として業務等を年1回以上行っていること。
令和6年診療報酬での点数例
💡補足:情報通信機器を用いた診療の施設基準が見直され、「情報通信機器を用いた診療の 初診の場合には向精神薬を処方しないことを当該保険医療機関のウェブサイトに掲載していること。」の項目が追加されました。
その他の要件は、医科診療報酬点数表(p250)、令和6年度診療報酬改定 Ⅱ-1 医療DX の推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進(p16)をご確認ください。
関連資料:
関連ヘルプページ: