VIZUALIZEにおけるグラフ機能
VIZUALIZEには、データを元に視覚的なグラフを簡単に作成できる機能が標準搭載されています。
例えば、以下のように「商談」オブジェクトをベースに設定し、関連する取引先名項目を内訳に指定することで、取引先名を示す円グラフを作成することが可能です。
子要素が内訳で選択できない例と原因
上記とは逆に、「取引先」オブジェクトをベースとしてグラフを作成し、そこから「商談」に関する項目を内訳として選ぼうとしても、内訳の候補に商談オブジェクトの項目が出てきません。
これは単なるバグや制限ではなく、Salesforce上のオブジェクト間のリレーション構造に起因する仕様上の挙動です。
以下に、「ベースとなるオブジェクトと関連するオブジェクトの内訳項目のリレーション構造」を詳しく整理します。
オブジェクトのリレーションと内訳選択の制限
「ベースに設定されたオブジェクト」から辿れる項目のみが内訳候補に表示されます。
そのため、ベースオブジェクトと他オブジェクトの関係がどうなっているか(1対N / N対1など)によって、内訳に選べる項目が変わってきます。
1. 1対N(親 → 子)
使用可否:×(不可)
例:取引先(親) → 商談(子)
→ 取引先をベースにしても、商談の「金額」「フェーズ」などは内訳に使えません。理由:1つの取引先に複数の商談が紐づいているため、「どの商談を参照するか」が明確でなく、グラフの1行あたりの値として定義できないため。
2. N対1
使用可否:○(可能)
例:商談(親) → 取引先(子)
→ 商談をベースにすれば、取引先の「業種」「地域」などは内訳に利用可能。理由:商談1件が必ず1件の取引先に紐づくという1対1のLookup関係であるため、値の参照が明確で内訳に利用できます。
3. 1対1
使用可否:○(可能)
例:商談 → 所有者(ユーザー)など
→ 商談をベースにすれば、所有者の「部署」「役職」などを内訳に使用可能。理由:1件に対して必ず1件の関連が存在する構造のため、参照は可能です。
4. N対N(多対多リレーション)
使用可否:×(不可)
例:
ユーザー ↔ プロジェクト(プロジェクト担当割当)
理由:
VIZUALIZEでは、ベースオブジェクトから直接たどれる「1対1の項目」しか内訳に使用できないため、N対N構造は内訳選択の仕様を満たしません。
まとめ:リレーション構造による内訳制限を理解し、ベース選定を正しく行おう
VIZUALIZEのグラフ作成では、ベースオブジェクトから直接たどれる項目しか内訳に使用できないという制限があります。
そのため、使いたい項目がどのオブジェクトに属していて、それがベースからたどれるかどうかを、グラフ設計前に確認しておくことが重要です。
リレーション種別 | 使用可否 | ベース → 参照先の例 | ポイント |
1対N(親→子) | × | 取引先 → 商談 | 子オブジェクトは複数あるため、内訳として使用不可 |
N対1(子→親) | ○ | 商談 → 取引先 | 1件に定まるため、親の項目を内訳に使用可能 |
1対1 | ○ | 商談 → 所有者、商談 → 種別設定など | 常に1対1でつながっていれば内訳に使用可能 |
N対N | × | ToDo ↔ ユーザー | 多対多構造ではどの値を参照するか曖昧になり、内訳に使用できない |
グラフ設計の第一歩は「ベースと内訳の関係性を正しく理解すること」です。
VIZUALIZEでは、どの項目が内訳として使用できるかは、データ間のリレーション構造に依存しています。
「なぜこの項目が選べないのか?」という疑問の多くは、1対NやN対Nといった関係性に起因する制約によるものです。
こうしたケースを回避・対応するためには、次のような方法が有効です:
ベースオブジェクトを見直し、適切な構成に作り直す
見たい情報が「どこに存在しているのか」および「どのように他のデータとつながっているのか」を意識することが、グラフ設計の成否を大きく左右します。
グラフ作成に入る前に、ベースと内訳のリレーション構造を正しく把握しておくことをおすすめします。
なお、該当項目が内訳として利用できない場合は、グラフの構成を一から見直して作り直す必要があります。
ただし、KPIグラフなどの場合は、既存のグラフを複製した上で設定を変更することで、これまで利用していた構成やフィルター条件を参考にしながら再設定することができます。
この方法であれば、ゼロからではなく、過去の設定を確認しながら効率的に構成を再設計できるため、特におすすめです。